現在、産業界はかつてない「コンピュータで使われる半導体不足」の渦中にあります。生成AIの爆発的な普及により、世界の半導体需要はデータセンター向けに集中し、CPU、メモリ、SSDといった主要コンポーネントの需給バランスが大きく崩れています。この影響は産業用PC(IPC)の納期遅延や価格高騰という形で、私たちの現場に直接的な影を落とし始めています。
マイクロネットから長年産業用システムに携わってきた経験に基づき、この状況に対応するための方策の一つについて提言いたします。
従来の産業システムでは、機能ごとにPLC、モーションコントローラ、調節機器、HMI用PCといった独立したサブシステムを組み合わせる「分散型」にならざるを得ませんでした。しかし、このモデルは今回のような半導体の供給がひっ迫する状況に対応できないという問題を引きおこします。
(1) システム信頼性の低下
構成部品が多ければ多いほど、そのうちの「たった一つの部品」の入手難でシステム全体が止まってしまいます。すなわち、機器を複数のサブシステムに分散させると、その分システム全体の信頼性を低減させることになります。
(2) 納期管理の複雑化
各デバイスメーカーの納期がバラバラになることで、プロジェクト全体の工程管理が極めて困難になります。
この局面を打破する鍵は「分散化されたハードウェアの機能をソフトウェアで仮想化し、ハードウェアは極力標準化すること」にあります。
これらの仮想化の考え方を産業用リアルタイムシステムで実現するために最適な技術が、AMP(非対称型マルチプロセッシング)技術を使った「INtime®」です。この技術を使えば、PLCや表示器、調節機器、モーション制御を仮想化して1台のPCで複数の機能を実行可能です。
強力なマルチコアCPUを搭載した産業用PC 1台にINtime®を導入することで、Windows環境(IT/HMI)と決定論的リアルタイム制御(OT)を完全に分離・共存させることができます。
(1) 物理的部品の削減
複数のサブシステムを1台のPCに集約することで、調達すべき物理デバイスの数と種類を最小限に抑え、欠品リスクを大幅に低減します。
(2) ポータビリティの確保
特定の専用基板に依存せず、標準的なPCアーキテクチャ上で動作させるため、万が一、特定のPCが調達不能になっても、代替機への移行が迅速に行えます。
半導体不足は一時的な現象ではなく、今後も特定のテクノロジーの台頭によって繰り返される構造的なリスクです。これからの開発において重要なのは、特定のハードウェアに縛られない設計資産を持つことです。
マイクロネットが提供するソリューションは、最新のCPUパワーを最大限に活用し、これまでハードウェアが担っていた役割をソフトウェアで実現します。これは、単なるリスク回避にとどまらず、将来的な機能拡張やエッジAIの導入を見据えた、最も合理的な投資となります。
「ハードウェアが届かないから開発が止まる」というリスクを私たちは技術で克服できます。マイクロネットは、INtimeをはじめとするリアルタイム・ソリューションを通じ、不透明な供給環境下においても、お客様の「止まらない開発と生産」を強力にバックアップしてまいります。
システムの統合化や代替構成への移行に関するご相談はぜひ弊社までお寄せください。